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懐かしい世界 3
年の頃は17、18。アクターとしては小柄で、どちらかと言えば子役か女性役が似合いそうな華奢な身体付きをしている。
カラスの濡れ羽のような黒髪に、くりっとした瞳。全体的に小作りでどこか幼さを残した顔立ちがアンバランスな色気を醸し出している。
「……どうせ嫌だって言っても、お前に拒否権は無いとか言うんでしょ? いいよ、やってあげる。でも、オレ、凛さんの弟だからって手加減しないからね?」
どこか面倒くさそうに言って軽くストレッチをしながら、蓮の側にやって来た少年は、蓮を上から下までじっくりと眺めて不敵に微笑んだ。
「凛さんの弟って言うからどんなごっついのが来るかと思ったけど、ただの優男じゃん。こんなのに今回の主役が本当につとまるの?」
(なんだ、このくそ生意気なガキ……。ぶち犯して啼かせてやろうか)
そんな不穏な考えが脳裏をよぎるが、蓮は必死に理性を働かせて怒りを呑み込む。
ここで感情に任せたら負けだと自分に言い聞かせ、蓮は平静を装いながらゆっくりと呼吸を整えると、真っ直ぐに相手を見据え営業スマイルを顔に張り付かせて笑ってみせた。
「はじめまして。御堂蓮です、優男でごめんね? これでも芸歴は長いから、全力で来なよ」
「ハハッ、ただのイイコちゃんって訳じゃなさそうだね。笑顔で挑発してくるなんて、なんかムカつく」
「褒めてくれてありがとう。君もなかなか良い性格してるよね。僕の事は蓮でいいから。よろしくね、逢坂くん」
差し出した蓮の手を一別すると、彼はふんっと鼻で笑ってそっぽを向いた。
「別に、褒めてないし。って言うかオレ、あんたと馴れ合うつもりはないから」
「……年上に対しての口の利き方がなってないね。……これは調教が必要かな?」
スゥっと目を細めてぼそりと呟くと、蓮の本性に気付いたのか、彼の頬が引きつるのがわかった。
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