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動揺と葛藤 11

蓮はその事実にホッと胸を撫で下ろすと安堵の溜息を洩らした。 「そっか、よかった。実は僕もあの日は色々あって遅くなってしまったんだ。ずっと謝りたかったんだけど、中々タイミングが無くって」 「そうだったの!?」 蓮の言葉に、今度はナギが驚いたように目を丸くする。 お互いの誤解が解けたことで、二人の間の空気が少しだけ和らいだような気がした。 「あーぁ、もともとヤる為の約束だったし、アンタが一人で悶々としてんの陰でこっそり覗いて笑ってやろうと思ってたのに」 「ちょっ、そんなこと考えてたの?」 「だって、そりゃ……シャワー室でびしょ濡れにされたし? 嫌だって言ってるのにあんなとこでエッチな事してくるし……。やりたい放題されてムカついたから仕返し してやろうとは思ってたけど……」 拗ねたような口調でぶつくさ文句を言う彼は、何処か恥ずかしそうに頬を染めている。 「俺さ、やられっぱなしは性に合わないんだよね」 そう言って、手を伸ばしてきた彼に手首を掴まれ引き寄せられる。 「わ、ちょ……っ」 「まぁ、正直気持ちよかったし……悪くはなかったけど」 ナギは蓮の首にするりと腕を巻き付けると、そのまま唇を寄せてくる。 ちゅっと軽く触れ合ったかと思うと、ぬるりとした舌先が蓮の下唇を舐めた。 「相手を翻弄するのは好きだけど、されるのは嫌いなんだ俺。覚えといて?」 至近距離で妖艶に微笑みかけられ、蓮は思わず息を呑んだ。なんて扇情的な表情をするんだろう。

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