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動揺と葛藤 14

「べ、別にリクエストなんてしてないし! 俺はただ、ちょっと悪戯してやろうって思っただけで……」 「ふぅん、悪戯する相手が悪かったね。残念だけど、僕も人に翻弄されるのは嫌いなんだ」 「あっ……」 逃げようとする腰を引き寄せ壁に押し付けながら耳たぶを食んでやれば、途端にナギの口から甘い吐息が洩れる。 耳の裏から首筋にかけて舌先でなぞってやると、ナギはふるりと身を震わせた。 「っ、ぁ……っ、やめ……っ」 「んー、聞こえないな」 わざと音を立てて耳をしゃぶりながら胸元をまさぐると、ナギは切なげな声を上げて蓮の腕を掴んだ。 「だめっ……」 弱々しい力で抵抗されるが、蓮は構わずに胸を撫で回し、突起を探し出すと爪でカリっと引っ掻いた。 「ひぁ……っ」 ビクビクっと小刻みに揺れる身体に嗜虐心が煽られた。もっと乱れさせたい――その欲望のままに指の腹で何度も弾き、摘まんでやると、次第にそこは芯を持ち始め、固く尖ってくる。 「キミって案外チョロいね。散々煽って、誘って来たんだ……当然、僕を愉しませてくれるんだよね?」 耳殻を食むようにして甘噛みすると、ナギの口から小さな喘ぎが洩れた。 その反応に気をよくした蓮は更に耳孔に舌を差し入れ、じゅるりと音を立てて愛撫を続ける。 「ん……っ、ぁ……っやだ……だめ……っ」 耳が弱いのか、吐息混じりに零れる甘い声を抑えようと必死になっているのが可愛くて、もっと虐めてみたくなる。

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