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動揺と葛藤 16
「嫌だって言ってもスる気のクセに……」
ぼそりと呟くと、自ら唇を重ねてきた。
蓮は一瞬目を見開いたが、直ぐに口角を上げるとナギの首筋に腕を回して引き寄せる。
「本気で嫌がることはしないよ」
「……そうかな? お兄さん、嫌がれば嫌がるほど燃えるタイプに見えるけど?」
「……」
至近距離で悪戯っぽく顔を覗きこまれ、二の句が継げなくなる。確かに、その通りかもしれない。そう考えると、自分はドSの部類に入るのだろうか。
「否定はしないんだ。やっぱりお兄さん、ヘンタイだよね」
「っ、君に言われたくないんだけど」
くすりと笑われ、蓮は苦虫を潰したような表情で言い返す。
「はは、まあね。でも、俺、お兄さんのことは結構好きだよ」
「っ」
だが、不意打ちでさらりと告げられ、一瞬動揺してしまった。まさかナギの口からそんな言葉が出てくるとは思わなかったのだ。
「……なに、意外そうな顔してるね」
「いや、だって……ねぇ?」
「あれ? 照れちゃったの? 変なの。……ねぇ、スるんでしょ? 早く続きしよう? 俺、中途半端で辛いんだ」
「えっ、ちょっ……」
ナギは慣れた手つきで蓮のベルトを緩めると器用にズボンのジッパーを下ろし、下着の上から股間を弄ってきた。
「早く、コレで思いっきり突いて欲しいな……」
「っ、く……っ」
妖艶な笑みを浮かべながら、布越しにぐりぐりと昂りを刺激され、指で先端をなぞられるとじわりと先走りが滲み出る。
「ははっ、すっごいね。こんなにガチガチにしちゃって……。先っぽ濡れてる」
「……っ」
転んでもただでは起きない性格なのか、それともこの状況を楽しんでいるだけなのか――ナギは蓮の下半身を露出させるとそこに頬を寄せてみせた。
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