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撮影開始 4

その反応に調子づいた蓮は、ここぞとばかりに攻撃を叩き込み、ばったばったと敵を薙ぎ倒していく。 全て台本どうりとは言え、自分の体を自在に操れている実感が持てることが嬉しくて、蓮は終始笑みを浮かべながら戦っていた。 やっぱり、雑魚の戦闘員達を次から次へと薙ぎ倒していく瞬間がとても楽しい。 「はい、カーット!」 あっという間に壊滅状態へと追い込み、自棄を起こした怪人ベジタブルが、巨大化のポーズをとったところで一旦撮影は終わった。 「すごいよ蓮くん!」 撮影が終わると同時に雪之丞がマスクも取らずに駆け寄ってきて、興奮気味に手放しで褒め称えてくる。 「あー、暑い……。ありがとう。でも、ちょっと褒めすぎじゃないか?」 マスクを取り、汗で張り付いた前髪を掻き上げながら蓮は思わず苦笑した。 確かに、今日はよく動けていた。だが、最盛期の頃と比べたらまだまだキレが良くない。 「え? そうかな? すごく良かったと思うけど……ねえ? 東海」 「ちょっと! なんでオレに振るんだよ……でも、まあまぁ……良かったんじゃない?」 首から下げたタオルで汗を拭きながら、視線を明後日の方向に向け、東海がそう呟いた。語尾がだんだん小さくなっていくところが可笑しくていたずら心がムクムクと頭をもたげはじめる。 「ふはっ、そこは素直にかっこよかったよ!蓮さんサイコーっていうところじゃない?」 ベンチに腰掛けながら、ニヤリと笑ってみせると、東海は露骨に嫌な顔をして舌打ちする。 「はぁ?  何言ってんの? 自分で言うとか、ばっかじゃねぇの!?」 「あはは。ごめん、冗談だよ」 「ムカつくんですけど」 そう言って睨んでくる東海は、やはりまだどこか幼さが残っていて、つい揶揄いたくなってしまう。 「そんな怖い顔しないでよ。可愛い顔が台無しだよ」 「はぁ? 何それ、ほんと意味わかんない」 「褒めてるんだけどな」 「男に褒められたって、ちっとも嬉しくないから!」 キッと睨みつけながら言い放ってくる姿が可笑しくて堪らない。

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