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表裏一体2
「そうか、ちょうど夕食時だもんな。じゃぁさ、お兄さんも一緒にご飯行かない? 俺達ちょうどこの後ご飯食べに行こうって話してて」
「えっと急に僕が参加しても大丈夫なのかな? 流石にいきなりは迷惑なんじゃ」
適当に話を合わせただけだったのに、思わぬナギからの提案に蓮は戸惑い、美月と弓弦に視線を移した。
誘ってもらえるのは嬉しいが、一度か二度しか話したことのない相手と食事に行くのを嫌がる人達も一定数いるだろうし、相手はあの草薙弓弦。
今を時めく人気俳優だ。そんな第一線で活躍している俳優と気軽に食事だなんて軽いノリで行けるわけがない。
それに今日はさっき凛に言われたことを、じっくりと考えようと思っていた所だったのに。
「アタシは別に構わないよ? 御堂さんと話、してみたいと思ってたし。結弦もいいでしょ?」
「そうですね。私も特に不都合はありません」
しかし、予想外にもあっさりと承諾されてしまい、蓮は困惑気味に目を瞬かせた。どうせ断られるだろうと踏んでいたのに、まさかOKされるだなんて。
「キャストとアクターは表裏一体だって、御堂さん……凛さんの方が言ってたし。どうせなら、はるみんとゆきりんも呼んじゃおっか」
美月の提案に、ナギと結弦がうなずく。どうしよう。なんだか大変な大所帯になってしまう気がする。
「んじゃぁ、みんなでご飯食べに行きましょ」
「お兄さんも、いいよね?」
まさかこの流れで自分だけが嫌だとも言えず、蓮は静かにうなずいた。
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