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表裏一体 3

「んじゃぁ、第一回獅子レンジャー親睦会を始めます! カンパーイ」 美月が音頭を取りながら乾杯の合図をする。それを向かい側で見つめながら、蓮が控えめにグラスを掲げた。 まさか本当に雪之丞と東海が来るなんて思っていなかった。しかも、全員同じテーブルに着いてしまうとは。 美月の案内で連れて来られたのは、駅前にひっそりと佇む創作和食料理屋。個室のある居酒屋で、全室掘りごたつ式の座敷になっている。 受付をしてくれたバイトの女の子が弓弦の顔を見るなり目の色を変えて特別席をあけてくれたのだ。 アポなしで来たにも関わらず、すんなりいい場所が確保できる辺り、流石だと言うべきだろうか。 「まさか雪之丞たちも来るなんて……」 特に東海はこういう場には顔を出さないとばかり思っていた。 「別に、好きで来たわけじゃないよ。でも……、凛さんから言われてるから」 「言われてる? 何を?」 斜め向かい側に座った東海の言葉に蓮は食いついた。何か、あの言葉のヒントが隠されているのではないだろうか? そう思ったからだ。 「役者と自分達は表裏一体。少しでも側に居て、相手の行動や仕草、動きやちょっとしたクセなんかをじっくり観察しろって。まずはそれが基本だからって」 「……表裏……一体?」 そう言えばさっき美月も同じことを言っていたような気がする。確かにアクターと役者は二人で一つのキャラを演じることが多い。 しかし、それだけでは答えにならない。もっと何か深い意味があるはずなのだ。 蓮はそっと隣に座っている雪之丞の様子を窺った。 雪之丞は、蓮の視線に気づくことなく、黙々とビールを煽りながら食事を摂っている。 若干ペースが速いような気もするが、酒に強いのか顔色は変わっていない。 その様子はいつも通りの彼だ。見られていることに気が付いたのか目が合うと、ほんの少しバツが悪そうに俯き、そっと耳元に唇を寄せて来る。

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