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表裏一体 8
「な――っ!?」
いきなりの行為に驚き、固まっているとナギは自分の唇をペロリと舐めくすっと小さく笑う。
幸い、目の前にいる3人は此方の様子には気付いていないようだが、確実に雪之丞には見られた。
その証拠に、掴まれている腕が痛い。
「へへ、奪っちゃった~☆」
「おいおい、こんな所でなにをするんだ」
「……俺、さ……酔うと無性にキスしたくなるんだよね……」
「はっ? え……っちょっ!」
するりと頬を撫でられ、ピリピリと皮膚が粟立つ。だが、そんな蓮の反応を楽しむかのように、ナギはゆっくりと口元に弧を描いた。
こいつ、キス魔だったのか! ただでさえエロいのに、キス魔だなんて……ッ。
しかも、酔ってるせいか、いつもよりエロさが倍増している気がして思わずごくりと喉が鳴る。
「ねぇ、こっそり抜け出さない?」
耳元に唇を寄せ、蠱惑的な甘い声が囁いてくる。
耳にかかる吐息にぞくりと背筋が震えた。
いやいや、どう考えても無理だろ。ナギとは反対側の腕は雪之丞にしがみ付かれているし、いくらさっきのキスが気付かれなかったとはいえ、ここで抜け出したら速攻でバレてしまう。
「いや……流石にそれは……っ」
「……」
「ちぇ、やっぱり駄目かぁ」
不満そうな声を上げ、あっさりと引き下がるナギにほっと胸を撫で下ろす。
危なかった……。もう少しでほだされる所だった……。
この手の誘惑には乗るまいと心に決めていたはずなのに、危うくまた過ちを犯しそうになるところだった。
と言うか、バレたくないんじゃなかったのか!? いや、こいつらの前だったらバレてもいいと思っているとか?
酔った勢いって事にすれば何でも誤魔化せると思ったら大間違いだ。
そもそも、雪之丞がすぐ隣にいるのに堂々と誘うなんて何を考えているんだ!?
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