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3人で!?
「ハハッ、ゴメン。ごめん。あまりにも可愛い反応するからつい……」
「えっ、冗談……?」
ほんの少しがっかりしたような表情を覗かせ、雪之丞が呟く。
「あれ? もしかして、本当にして欲しかった?」
「ッ! ち、違うからっ!!」
ブンブンと首を振り目の前にあったジョッキをぐっと飲み干す姿に思わず苦笑いが漏れた。
「蓮さん。そろそろ出ませんか? 私と逢坂さんは明日は学校もあるので。姉さんもこのまま寝てしまいそうですし」
「あぁ、そうだね」
時計を見れば既に22時を回っている。確かに高校生組はそろそろ帰った方がいい時間だろう。
「今夜は、姉さんが失礼な事ばかり言ってすみませんでした」
「えっ? いやいや、僕は別に構わないよ」
会計を済ませて店を出ると、弓弦がウトウトしている美月を背負いながら頭を下げて来た。
この子は本当に高校生だろうか? とてもしっかりしていて礼儀正しい子だと思う。
「幼い頃からの夢だったんです」
「ん?」
「ずっと、女優になることを夢見て頑張って来たのに、現実は残酷ですよね。今日、監督に色気が足りないと言われたらしく……。その上、あんな場面を見せられたので、余計に落ち込んでしまっていたみたいで。姉さんは平気だ。なんて言ってましたけど、お酒を飲んで気が緩んだんでしょうね」
「あぁ……」
あの監督は、女性なら誰でもいいみたいな節操なしだからな。
というか、子供番組なんだから色気は必要ないだろ!? あのエロオヤジ、最悪だな。
演技の指導に色気は関係ないだろ。
「わかった。監督に余計な事言わないように注意して貰えるように、兄さんに伝えて……」
言ってしまってからはた、と気が付いた。 兄から言われた言葉の意味を考えるつもりがすっかり忘れてしまっていた。
「蓮さん?」
「えっ? あぁ、大丈夫。何でもないよ。ほら、タクシーが来た。 またね、二人とも。はるみんも気を付けて帰るんだよ」
「ガキ扱いすんなよ。オレは走って帰るから平気だし」
「走る!? げ、元気だな……」
家が何処にあるのかはわからないが、此処から走るとは……若さと言うのは恐ろしい。
去っていくタクシーと、東海を見送り振り返る。
「じゃぁ、俺達も帰ろうか。雪之丞、立てるか?」
「……平気」
言いながら、電信柱に凭れている姿はとても平気とは言い難い。
「送っていくから。場所、教えて」
「……蓮君の家に、泊まりたい」
「えっ?」
トロンとした目で見つめられ、戸惑った。
「……ダメ?」
「ダメ、と言うか……うーん」
特にこの後約束をしていたわけでは無いが、なんとなくナギと一緒に過ごす気でいた。だが、それを雪之丞に伝えるのはなんだか憚られる。
それに、この状態の雪之丞を一人でタクシーに乗せるのも……ちょっと心配だ。
「お兄さんの家に行くの? いいなぁ。俺も一緒に行ってもいい?」
「えっ!? キミも!?」
ナギの提案に驚愕する。この男は一体何を考えているんだ?
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