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3人で!? 3
「股間ゲロまみれにしたイケメンとか超ウケる」
「全く……笑い事じゃないだろ。運転手さんがいい人でよかったよ」
雪之丞がダウンしてから数十分、なんとか部屋に連れ帰り、汚れてしまった服を脱がせて取り敢えずベッドへと寝かせた。
とばっちりを食らった蓮が風呂に入ってる間に、ナギが体を拭いて綺麗にしてあげてくれたようで、今はスヤスヤと気持ちよさそうに眠ってしまっている。
「吐くまで飲むヤツじゃ無かったんだけどな……」
苦笑しながらそっと髪を撫でると、くすぐったかったのか雪之丞が小さく身じろぎをしたので慌てて手を引っ込めた。
危うく起こしてしまったかと思ったが、再び規則正しい寝息を立て始めたのでホッと息を吐き、そっと着替えのシャツだけ掴んで寝室を後にする。
「ゆきりんの様子は?」
新しい着替えに袖を通しながらリビングに戻ると、ソファに座っていたナギが立ち上がって心配そうに尋ねてきた。
「よく眠っているよ」
「そっか……。ゆきりんには悪い事しちゃったな」
「……」
まさか、あの雪之丞が酒に酔って吐くなんて思わなかった。というか、酒に強いはずの彼がそこまで酔うというのがそもそも珍しい。
「酔いつぶれるまで飲むなんて、雪之丞のヤツ、一体何があったんだろう?」
率直な疑問を口にすると、ナギがキョトンと首を傾げた。
「何言ってるの? まさか、気付いてないとか無いよね?」
「 気付く? ……それってどういう意味?」
一体何に気付くというのだろうか? 今の口ぶりでは、ナギにはその原因がわかっていたようだが……?
「あれだけアピールしてたのにわかってないなんて、ゆきりん可哀想」
「だから、何が――」
「そんなの、俺の口からは言えないよ。お兄さんって、意外と鈍いんだね」
小馬鹿にしたような物言いに、カチンと来た。
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