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3人で!? 5

そんなナギの様子を横目に見つつ、黙って耳を傾ける。 「ごめんね、初めて会った時、実は俺、お兄さんの事知ってたんだ。お兄さんだけじゃなくって、ゆきりんの事も勿論知ってたし、はるみんのことも知ってる」 「えっ?」 「一目でわかったよ。人気絶頂のさなかに突然引退を表明した伝説のイケメンアクター。お兄さんの柔らかい表現力と誰にでも合わせられる演技、綺麗な技の数々がすっごい好きで、憧れだったから」 真っすぐに目を見ながら告げられて、思わず照れ臭くなる。 こんな風に正面から褒められたことが無かったから、どう反応したらいいかわからず、蓮は誤魔化すようにコホンと咳払いをした。 正直、面と向かってそんなことを言われるのは気恥ずかしいし、気まずい。 「あれ? 照れてるの?」 「て、照れてなんかないよ」 図星を突かれて、平静を装いながら困ったように眉を寄せる。 本当はかなり動揺していたけど、それを悟られまいと必死に取り繕った。 「お兄さんが凛さんに何を言われたのかはわからないけど……。お兄さんって、どんな役者にも合わせられるでしょう? 戦隊ヒーローって演者とアクターが違うから下手な人だと直ぐにわかっちゃうんだよね。仕草が違うって言うか……。お兄さんの演技はどの出演番組を見てても違和感が無くって、それでいて綺麗で……。やっぱり、この人凄いなぁってずっと思ってた」 「……」 ナギの話と凛に言われたことが重なっていく。 独りよがりの演技……。演者とアクターは表裏一体。 自分が呼ばれた意味――。 彼の演技をこの目で見た時に、何故気付かなかったのだろう。クセのない自然体の演技をする彼を引き立て、違和感なくアクションに持ち込むには、台本どうりの動きでいいはずが無いじゃないか。 「ハハッなんだ……そうか……」 なんでそんな簡単な事に気付けなかったんだろう? 「……お兄さん?」 「いや、ゴメン。何でもない」 「……? 変なの」 不思議そうに首を傾げるナギに、蓮は苦笑を漏らしながら、心の中がスッキリと晴れていくのを感じていた。

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