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3人で!? 6
こんな単純な事に気付かないなんて、独りよがりと言われても仕方が無いじゃないか。
「そう言えば、初めて会った時には、僕の事を知ってたって言ってたけど……」
「すぐにわかったよ。だってお兄さんが載ってる写真集持ってたし」
確かに昔、特集の一部で写真を撮ってもらった記憶がある。でもまさか、こんな身近にそれを持っている人間が居るなんて思わなかった。
「そ、そうなんだ」
「あの日、バスの中で憧れだった人が自分と同じゲイだったってわかって、本当に驚いたんだ。なんで引退したのかとか、色々聞きたいことがあったのに、そんなことどうでも良くなるくらい会えたことが嬉しかったし……興奮しちゃって、つい、あんな事しちゃったんだ」
ナギは、はにかんだような笑みを浮かべるとゆっくりと立ち上がり蓮の膝の上に跨ってきた。戸惑う間もなく首に腕を回して、甘えるように頬を寄せてくる。
「ちょっ……な、なにして……」
「ねぇ、今日はしないの?」
「――っ!」
耳朶を甘噛みしながら蕩けるような声音で誘われ、一気に身体が熱くなった。わざと煽るように腰を腿に押し付けて来て、ゾクッと背筋に快感が走る。このままではマズい。
なんとか理性を保とうと深呼吸をするが、そんな蓮の葛藤を楽しむかのように、喉を鳴らすとナギは更に密着して来る。
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