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3人で!? 9
だがしかし、やはり友人でもある雪之丞と関係を持つ事に躊躇いはある。
それに、初めてだというのにこんな状況で良いものだろうか? と言う罪悪感が凄い。
自分が言うのもなんだが、こう言う行為はやはり好きな相手とするべきではないだろうか?
「雪之丞はどうしたい? 流さるままじゃなくてお前の意見が聞きたい」
今夜の事は3人とも酔った勢いでの事だ。だが、それが元で雪之丞との関係が気まずくなるのだけは避けたい。
「ボ、ボクは……」
蓮の問いかけに雪之丞は言葉を詰まらせた。言いにくそうに口を開きかけては噤んでしまう。
「正直、興味本位なだけなら止めた方がいい。僕は雪之丞がコイツみたいなくそビッチになって欲しくないし……」
「ちょっ、ビッチって酷くない!?」
ナギの抗議を無視して言葉を続ける。
「でも、もしも雪之丞が望むなら……僕たちは拒まない」
真っ直ぐに見据えながら告げると、暫く沈黙が流れた。
時計の秒針の音だけが部屋中に響いている。
やがて、意を決したように顔を上げた雪之丞は、おずおずと口を開いた。
「蓮君は……それでいいの?」
「ん?」
「ボクなんかでいいの? だって……その、男同士だし……」
「あぁ……そんな事か」
不安げに揺れる瞳を見返し、蓮はフッと笑みを浮かべた。
「僕は基本的に来るもの拒まずだから。雪之丞が後悔しないって言うなら構わないよ」
「そ、そうなの!?」
今初めて知ったとばかりに目を大きく見開く。その様子がなんだか可笑しくて、思わず失笑が洩れた。
「軽蔑した?」
苦笑交じりに問うと、雪之丞は慌てて首を振る。するとすかさずナギが横から口を挟んできた。
「お兄さんはヤリチンだからね」
「ヤリチンじゃない!」
「え? 違うの? アプリで男漁りしてたくせに」
「男漁り……そう、だったんだ」
ナギの余計な一言に、蓮は心の中で盛大に舌打ちし、困ったように頭を掻いた。
「ま、まぁ……そう言う事だから。で? どうする?」
これ以上話がややこしくなる前に話を戻そうと促す。
「ぼ、ボクは……」
そして、何かを決意したかのように大きく深呼吸をすると、緊張で僅かに上擦った声で言った。
―――お願いします……と。
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