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一夜限りの……4

ちゃぽん、とバスタブの中で湯が跳ねる。足の間にナギを入れ、後ろから抱くようにして肩口に顔を埋めた。 「あ~……気持ちいい」 「ははっ、おっさんぽい」 「仕方ないだろ? もう、オッサンなんだから」 口を尖らせながらそう言うと、「そうだったね」とクスリと笑われてしまった。それはそれで複雑だなぁ。なんて思っていると、ゆっくりとナギがこちらに身体を預けて来る。 「ゆきりん、大丈夫かな?」 「……あー……もう少し、優しくしてやるつもりだったんだけどな……」 初めてなのにあんなに無理をさせてしまった。初めての相手にするには少々ハード過ぎたかもしれない。 「で? どうだった? ゆきりんのは」 「あのなぁ、そう言う事聞くか?」 ニヤリと口角を上げながらそんな事を聞かれて、思わず苦笑が漏れる。 「だって、気になるんだもん」 振り返った拍子に髪が揺れて、その隙間からのぞく琥珀色の瞳に見つめられると、ドキリと心臓が高鳴った。 「……良かったよ。流石に名器とはいかないけど」 「あははっ、なにそれ」 「でも、感度は抜群だし、何より素直だからね。調教のし甲斐がありそうだ」 「……変態」 「キミに言われたくない」 はぁっとため息をつくと、それに反応してかナギがくつくつと笑い出した。そして、不意に身体を回転させると向かい合わせになり、そのまま勢いよく首に手を回され引き寄せられた。 ちゅっと軽いリップ音を響かせて唇が重なる。 舌を絡めて濃厚なキスをした後、ゆっくりと顔を離すと、そこには蕩けるような笑顔を浮かべたナギがいた。 「ねぇ、もう一回しよ?」 「……それは誘ってるのか? それとも煽ってんの?」 どちらとも取れる台詞に少しだけ苛立ちを覚えるが、ナギがそれを察知する前に再びキスで言葉を遮られてしまう。 「どっちだと思う?」 悪戯っ子のような表情でそう言ってのけると、ナギはそっと手を蓮の太腿に置いた。 「あのなぁ。言っておくけど今日はもうしないからな」 「えぇ、なんで? ゆきりんが居るから?」 「そうだよ」 蓮の言葉にナギはムッと僅かに眉根を寄せ不満そうに唇を尖らせる。 そんなに拗ねるような事でもないだろうに、どれだけセックスが好きなんだコイツは。 「……やっぱ、俺よりゆきりんの方が良かったんだ」 「はい?」 なんでそうなる。意味が分からず首を傾げると、突然ナギの指先が蓮の中心に触れた。 「おい、ちょっと!」 「俺さ……、お兄さんがゆきりん啼かせてるの、ちょっと嫌だったんだよね。まぁ、勿論気持ちよかったんだけど……」 「お前なぁ。そもそも、雪之丞を嗾けたのはキミでしょ?」 「そうなんだけど……。だって、嫌だったんだもん。自分でも、こんな気持ちになるなんて思って無かったし」 珍しく拗ねた様子を見せるナギに、蓮は呆れたように息を吐いた。

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