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疑問

「あ、あの……グラフィックの機材って、見せて貰う事って出来ますか?」 重苦しい沈黙の中、そう声を挙げたのはずっと黙って事の成り行きを見守っていた雪之丞だった。 「あ! そうだよ、ゆきりんなら操作出来るんじゃない?」 美月がポンッと手を叩いてそう言うと、皆がハッとしたように目を見開いた。一斉に視線が雪之丞へと集まる。 確かに、ゲームを自作してしまうほどの腕前を持つ彼ならば、何とかできるかもしれない。 「ちょ、ま、まだ出来るとは言ってないし! 知識はあっても動かせないと意味がないからっ」 「棗が?」 「えっ、えっと……確実に出来る自信は無いんです。でも……っ」 「雪之丞はコンピューター関連の知識が凄いらしいんだ。僕も試してみる価値はあると思うんだけど」 本当に大丈夫だろうかと訝し気に眉を寄せていた凛だったが、蓮の言葉を聞いてしばらく考え込むように顎に手を当てた。 それから、ゆっくりと視線を上げると真剣な眼差しで雪之丞を見つめた。 「代役を探している時間も惜しい。棗がやってくれるというのなら願ったりかなったりだ」 凛の言葉に、一同は大きく首を縦に振った。CGさえなんとかできればとりあえず話は進むはずだ。 「わ、わかりました。やってみます」 雪之丞は自信なさげな表情を浮かべながらもしっかりとした口調で答えた。 「大丈夫。お前ならきっと出来るよ」 「……蓮君……。う、うんっ」 不安がる彼の肩をそっと叩くと、彼は頬を赤く染めて照れくさそうに笑みをこぼした。 視界の端に、複雑な表情をしたナギの姿が映る。 「百聞は一見にしかずだ。少しざわついているが、実際に行ってみるか?」 「それは、私たちも一緒に行ってもいいでしょうか?」 弓弦の質問に、凛は周囲を見渡しはぁ、と盛大な溜息を吐いた。 彼の後ろには、見てみたい! と言う好奇心に満ちた目をした美月や東海の姿があり、どうしたものかと考えている様子だった。 「わかった……。但し、邪魔だけはするなよ」

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