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縮まる距離感 13

首が変な角度で曲がった。仰向けのままの蓮にナギが覆いかぶさって来る。顔を上げると、すぐ目の前に彼の整った顔があった。 他人を見下ろすのは好きだが、こうやって組み敷かれるのは自分の趣味じゃない。でも、どうしてだろう? 相手が彼だと思うと不思議と嫌悪感を感じなかった。 気怠い腕を伸ばして、顔の横に置かれた手にそっと触れてみる。するとナギは蓮のその手を取って、自分の心臓へと導いた。ドクンドクンと脈打つ鼓動が伝わってくる。 ああ、生きている。当たり前の事なのに、何故か酷く安心した。 ナギは黙り込んだまま、ただ真っ直ぐにこちらを見つめている。その瞳の奥に、確かな熱を感じた。 ―――キスしたい。 そんな衝動に駆られて自然と距離が近くなり、どちらともなく唇を重ねていた。 啄むようなキスはなんだか甘くて、擽ったい気持ちにさせられる。 何度かそれを繰り返すうち、キスは次第に深いものへと変化していく、歯列をなぞるように舌を這わせ、上顎を擦り上げ、口腔内を余すことなく舐め回す。 互いの唾液が混じり合い、飲み込みきれなかったものが口の端から零れ落ちる頃にはすっかり息が上がってしまっていた。 呼吸が苦しくなり、一度離れると、二人の間を銀色の糸が繋いだ。それを拭うことも無くじっと見下ろすナギの視線は、熱に浮かされたように蕩けていて、とても扇情的に思えた。 「……もう、早く寝ようって言ってるのに……こんなキス」 「またしたくなったの? 本当に好きだねぇ」 クスリと笑って揶揄するように言ってやると、ナギは拗ねたように口を尖らせながらも抱き着いて来た。 そして耳元で囁く。 「さっき、中途半端だったから……最後までシたいな」 熱っぽい吐息が耳に掛かり、ゾクッと身体が震えた。 その誘い文句に答える代わりに、そのまま彼を抱きしめ返した。

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