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トラブルだらけのスタート 7
「あ! ナギ君達来た!」
「え? 何?」
迎えに来たナギのマネージャーの車でスタジオ入りすると、既にみんな集合していて美月が慌てた様子で駆け寄って来た。
「朝のアレ、かなりヤバい事になってるよ」
「アレ? あ、あぁ……あれね」
車の中であらかじめ、SNSで随分話題になっているようだと聞かされてはいたが、美月の慌てっぷりを見て、改めて事の重大さを実感する。
「もー、蓮さんも、いくら酔いつぶれてたからって出て来るタイミング悪過ぎでしょ」
「へっ!?えっ、あ、……あー、ははっそ、そうだね……ごめん」
一瞬、何の事だかわからなかったが、おそらくナギがそう言ったのだろうと瞬時に理解した。
もっとマシな言い訳はなかったのだろうか?
と、不満さえ覚えるが、彼も相当焦っていたのだろうし、蓮に非があるのは事実なので何も言えない。
「というか騒ぎになってるって、やっぱり批判が殺到してる感じなのかい?」
せっかくの宣伝が逆効果になってしまったのではないかと不安になって尋ねてみれば、少し離れたところで台本を読み返していた弓弦が、少々複雑そうな顔をしながらため息を吐いた。
「批判、というより……突然現れた蓮さんの存在に、一部の若い女性が沸き立って、騒ぎ立てている感じですかね。今の所、批判的な意見は少ないんですが、子供番組なのでなんとも言えないかと」
「あぁ……なるほど……」
確かに、子供が真似したらどうするんだとか、教育上良くないだとか、そういった類の意見が寄せられてもおかしくはない。
「草薙くんの言う通りだ。蓮……話がある」
いつになく硬い声が飛んできて、ひゃっと背筋が伸びる。
恐る恐る振り返れば、そこには眉間に深いシワを刻んだ凛が立っていた。
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