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トラブルだらけのスタート 10
だが、それよりも先に確認しなければならない事がある。
蓮はゴホンと咳払いをして、気まずさを誤魔化しながらナギに尋ねた。
「ごめん、悪かった。えっと、浮気してるつもりは無かったんだ。一つ聞きたいんだけど、友人をからかうのも浮気に入るのか?」
「~~~ッ! ばかっ!」
「いたっ」
ポカポカと背中を叩かれて思わずよろける。ナギはキッと鋭い目つきで睨みつけてくると、逃げるようにその場を離れていった。
(なんなんだ……?)
蓮はポカンと口を開け、その後ろ姿を見送っていたが、やがて大きなため息をついた。
「ねぇ。……二人は、付き合ってるの?」
「え? あ、ぁあうん。一応。流れ的にそうだね」
「……そか。ーーたんだ……」
雪之丞がボソリと何かを言った気がしたが、上手く聞き取れなかった。
「どうかしたのか?」
「ううん。なんでもない」
雪之丞はふるりと首を振ると、何処か寂しげに笑った。
「それより、僕らも急いで準備しないと。遅れると凛さんにドヤされるよ」
「あ、あぁうん。そうだね」
どこか寂しげに微笑む彼に疑問を抱きながらも、促されるまま足早にスタジオへと向かう。その間、雪之丞がこちらを振り返ることは無かった。
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