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遊びじゃないよ 3
「戻ってたんだ。ゴメン、起きて待ってるつもりだったんだけど」
「ううん。僕の方こそ待たせて悪かったね。立てるか? 送っていくからそろそろ帰ろう」
蓮がそう言って手を差し出すと、ナギは素直にその手に自分の手を重ねて立ち上がった。
まだ少し足元が覚束無い様子でフラついているのをすかさず支える。
少し気まずそうに伝票を差し出し、一つ呼吸を置いてから真っすぐにナオミを見据えた。
「ケンジにはわからないかもしれないし、信じては貰えないかもしれないけど……。少なくともアイツの事は本気だったよ。伝え方がわからなくて酷い事をしてしまった自覚もあるし、後悔もしてる。確かに僕はケンジが言うように、愛するって事がどういうものなのか、よくわかってないのかもしれない。でも、今回は何も企んでないよ。これから先の事なんてまだ何もわからないけど、少なくとも今はこの子を大事にしたいと思ってる。その気持ちに嘘やごまかしは一切ない」
「……本気なの?」
「勿論。……別に信じてくれとは言わない。言ったってお前には茶番に見えるのかもしれないしな」
そう言ってナギの肩を抱き寄せると、ナオミはどういう心境の変化があったのかと訝し気に眉を寄せ二人を交互に見た。
しかし、それ以上は何も言わず、ただじっと蓮の顔を見つめた後、諦めたように息を吐き出し会計を済ませると静かに店の扉を開けた。
「……今度またゆっくり話しましょ。その時はちゃんと話を聞かせなさいよね」
「あぁ」
じゃぁ、また。と、ナオミに向かって軽く頭を下げるナギの肩を半ば強引に引き寄せ、複雑な気分で店を後にした。
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