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遊びじゃないよ 5

そのままぎゅっと抱きしめると、ナギは驚きつつも何処か嬉しそうに頬を摺り寄せてくる。 「本当はさ、不安だったんだ……。ゆきりんがもし、抱いてって言ったら流されてそのまま帰って来ないんじゃないかとか、やっぱりあっちがいいって言って捨てられちゃうんじゃないかって嫌な事ばっか考えちゃった」 「……そんなことしないよ」 そっと髪を撫でていると、ナギは甘えるように首筋に顔を埋めてきた。その仕草が可愛くて、蓮は思わずクスリと笑う。まるで大きな猫みたいだ。と、思った。 他の男だったら同じことをされても鬱陶しいだけなのにナギなら嬉しいと感じる。そんな風に思う自分が不思議だ。 しばらくそして好きにさせていると、満足したのかナギは顔を上げて上目遣いで蓮を見上げてきた。 その表情が妙に艶っぽくてドキリとする。 つい、キスをしてしまいたくなる衝動を抑えて、唇に指を押し当て囁いた。 「流石にタクシーの中じゃまずいだろ?」 「そ、そんな事わかってるし……!」 恥ずかしそうに俯いたナギの耳が赤くなっている。そんな反応がいちいち可愛らしくて、蓮は堪らず声を出して笑ってしまいそうになり口元を手で覆って、それでも堪えきれずにクツクツと肩を震わせて笑った。 ナギはそれが面白くなかったようで、不貞腐れてぷいっとそっぽを向いてしまう。 「ごめんって、部屋に戻ったら沢山甘やかしてやるから」 「別に……そんな事しなくてもいいよ」 素っ気なくそう言いながらも、チラリとこちらに視線を向けたナギを見て蓮は確信する。 これは絶対に甘やかして欲しい時の態度だと。きっとそうだ、そうに違いない。 (早く、マンションに着かないかな) そしたら思う存分抱きしめて、たくさんキスをして、ドロドロに蕩けさせてあげるのに。 蓮は逸る気持ちを抑えつつ、隣に座るナギの手をさり気なく握って窓の外に視線を移した。

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