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変化
「ほら、おいで」
ナギのマンションに到着後、蓮は当然のようにリビングのソファに腰掛けて自分の膝の上をポンポンと叩いた。
「えっ、なに急に……」
「なに、って……なんとなく?」
「なにそれ。超恥ずいし、絶対ヤダ。子供扱いしないでよ」
明らかに動揺しているのがわかるが、ナギはプイッと横を向くだけで一向に乗ってくる気配がない。
「僕がしたいんだけど、ダメ?」
「~~ッ! だから、そういう言い方ズルいんだって……っ」
「ねぇ、ナギ」
腕を引きながらわざと低い声で名前を呼ぶと、ビクリと身体が跳ねた。
一体何を企んでいるんだ? と言わんばかりの表情で蓮を睨みつけているが、その瞳の奥は微かに期待の色に染まっているようにも見える。
「早く」
「……わかったよ。座ればいいんでしょ?……もうっ、ほんっとに変なことしないでよね」
もう一度促すと観念したのか、ナギはそう言って大きく溜息をつくと渋々といった様子で蓮の隣に座ってきた。その身体を引き寄せて肩を抱くと、戸惑いながらもナギはそのまま蓮にもたれかかってくる。
程よい重みに目を細めうなじや髪にそっと口づけを落としていくと、くすぐったそうに身を捩って逃れようとするが、逃がすまいと強く抱きしめた。
「ちょっと、くすぐったいってば」
「我慢しろよ」
「無理。てかなに? すっごい恥ずかしいんだけど」
そう言って照れ隠しなのかぶっきらぼうに悪態を吐く姿が何故だか可愛く見えて、蓮は小さく忍び笑いを漏らした。それを敏感に感じ取ったナギはムキになって抗議してくる。
こうやってじゃれ合っている時がなんだか楽しいし、もっと触れたいと思う。
けれど、その思いをどう伝えれば良いのかわからない。今までこんな風に触れたいと思える相手に出会ったことがなかったから余計に。
自分の中にある感情が何なのかまだはっきりと掴めない。でも今は、この子の側に居たいと思うし、大切にしたいと思っている。
ナギの顎を掴み、顔を近づけてじっと見つめると、彼は少し戸惑ったように瞳を揺らした後、静かに瞼を閉じた。
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