164 / 351
変化 2
そのまま優しく触れるだけのキスをする。何度か啄むような口付けを繰り返し、躊躇いがちに背中に腕が回るのを確認してから、ゆっくりと腰を抱き重力に任せてソファに組み敷く。
「っ、……ん、……っふ……」
真上からのキスは少しずつ深くなり、僅かに開いた隙間から舌を差し入れ、口内を貪るように掻き回すとナギもそれに応えるようにして舌を絡めてくる。
息継ぎの合間に漏れ出る甘い吐息が鼓膜をくすぐり、それが余計に興奮を煽った。
「……はぁ……っ、ちょ、待って……お兄さん……ッ」
息継ぎの合間に唇を離した瞬間、ナギは苦しそうに大きく息を吸い込んで、やんわりと蓮の胸を押し返してきた。
「……なに?」
その手を取り、指に舌を這わせながら尋ねれば、ナギの身体はわかりやすいほどビクビクと小さく震え、切なげに眉を寄せて瞳を潤ませる。
「あの……、ここじゃなくて……ベッドがいい……」
「どうして?」
「……どうしてって……。だって、汚れちゃうし……」
「あぁ……そう言う事か」
確かに。と、納得した蓮は身体を起こすとナギに手を貸して起き上がらせた。
「先にシャワー浴びておいで」
「うん」
「一緒に入る?」
「ば、バカじゃないの!? 一人で入るし!」
顔を真っ赤にして怒鳴ると、ナギが逃げるように浴室へと消えていった。
その背を見送りながら自然と頬が緩んでしまっている事に気付き、蓮は慌てて口元を押さえた。
「あー、やばいな……。これ」
一人残されたリビングでポツリと呟き、頭を掻く。なんだろうこの胸が甘く疼くような感じは。
ともだちにシェアしよう!