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変化 3
理人の時に感じていた気持ちとは全然違う。今思えば、あれはどちらかと言うと、支配欲のようなものだった気がする。
けして自分の所に堕ちて来ない、手に入らない。高嶺の花と言うわけでもないのに、自分のものにならない苛立ちと焦りの先に見付けた、歪んだ愛情。
自分の思いどうりに出来なかった理人への執着が恋だったのかと問われたら、正直わからない。
しかし、今の気持ちとは比べ物にはならないくらい幼稚で拙かったのは確かだ。
だがナギに対する気持ちはそれとは全く別物のような気がする。上手く言えないけど―――……、ただ一緒に居るだけで楽しくて、幸せで、ずっとこのままでいられたらなんて考えてしまう。
けど同時に、自分の中にある醜い感情がいつかナギを支配しようとしてしまうのではないかと不安にもなる。
もう二度と、あんな風に誰かを傷つけるような真似はしたくない。執着のし過ぎは良くないのだと痛感しているのに、それでも求めずにはいられない。
自分はいつまで、ナギに対して綺麗なまままであり続ける事が出来るだろうか。
ソファに凭れてそんな事を考えていると、不意に頭上に影が差した。
目を開ければ、バスローブ一枚羽織っただけのナギが立っていた。その頬は風呂上がりの為か、薄らと上気していて、濡れた髪が妙に色っぽい。
蓮は思わずゴクリと喉を鳴らした。
「……怖い顔して、どうかしたの?」
「……いや。……」
何でもない。と言おうとして口を噤む。誤魔化しても仕方がない。蓮は苦笑すると立ち上がり、ナギの髪を撫でた。
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