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変化 4
その行動にナギは驚いたように目を見開き、次いで恥ずかしそうに視線を逸らす。
そんな仕草が可愛くて、蓮はそっとナギを抱きしめた。
シャンプーの香りが鼻腔をくすぐる。しっとりと濡れた髪に触れていると、それだけで満たされる気持ちになる。
「……ねぇ、お兄さん。ずっと聞かないでいようって思ってたんだけど……。お兄さんが好きだった人ってどんな人だった?」
「……っ」
突然の質問に蓮は思わず言葉に詰まった。
「あっ、嘘だよ、ごめん! 今のはやっぱナシ! 気にしないで!」
蓮の反応を見て、ナギはハッとした表情を浮かべて慌てふためくと、逃げ出そうとして腕を振り解こうとする。
「ナギ」
そんなナギの腕を引いて引き止め、再び抱き寄せると耳元で囁いた。
「……聞きたいなら話すよ」
「えっ? でも……」
「どんな人かって事だろ? まぁ、どうせ一方通行だったんだし、問題はないよ」
それに、もう終わった話だし。と、付け足すとナギは複雑そうな表情で蓮の顔を見た。
「まぁ、簡単に言えば……目付きも口も悪いし、チビのクセに態度もデカい。それにムカつくくらい生意気で負けん気が強くって、愛想もないし……」
「ねぇ、それ……本当に好きだったの? すっごい悪口に聞こえるんだけど……」
「……顔と身体が好みだったんだ」
「……最低じゃん」
「ハハッ、そうだね」
自分でも酷い言い様だと思う。でも本当の事だから仕方が無い。理人は、蓮が今まで出会った誰よりもカッコ良かった、そして魅力的で、傲慢で我が強かった。
自分がどれだけ虐げても折れない強さ。支配欲を掻き立てられると同時に、身体の相性がすこぶる良くて気が付けば夢中になってしまっていた。
そう考えると、自分がいかに盲目的に彼を見ていたのかがわかる。
「……僕と似てる?」
「……似てないよ。全然。あーでも……。ナギの身体の方が断然柔らかいし、感度も良い」
「……馬鹿! 変態ッ、エロオヤジ!」
蓮の言葉にナギは顔を真っ赤に染めると、ドンっと胸を叩いて抗議してくる。その様子があまりにも可愛らしく思えて蓮は思わず吹き出してしまう。
「何笑ってんのさ! 俺は怒ってんのに!」
「いや、なんか、可愛いなって思って……」
「なっ、なんだよ、急にデレて……っ、調子狂うなぁ……っ」
照れ隠しなのか、怒ったような口調とは裏腹に、ナギはそっと蓮の胸に頬を寄せてきた。
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