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接触 3

それにしても、一体どこまで行くのだろうか。 疑問に思いつつも着いていくと、駅近くの繁華街にあるビルの一階に入っているカフェレストランの前で立ち止まった。 「ここ、デートスポットとしても有名なんですよ。まぁ、御堂さんは俺なんかよりずっとオシャレなお店とか詳しいとは思いますが」 そう言いながら慣れた様子で入っていくのを見て、蓮は慌ててその後を追った。 店内は程よい照明に照らされ落ち着いた雰囲気で、昼のピークは過ぎだと言うのに席は八割方埋まっていた。 半個室で仕切られた窓際の奥まったテーブルに案内され、席に座るなり単刀直入に切り出した。 「それで、僕に話したいことって?」 「あぁ、それなんですが……」 注文を取りに来たウェイトレスにコーヒーを二つ頼むと、東雲は神妙な面持ちで口を開いた。 「御堂さんは、塩田と言う男をご存知ですか?」 「いや……知らないな」 その名前に蓮は首を傾げた。全く記憶にない名前だったが、東雲の様子からしてあまり良くない人物のような気がする。 「そうですか。じゃあ、2年前に起きた転落事故については?」 蓮は眉間にシワを寄せると、考え込むように腕を組んだ。 「……何が言いたい?」 蓮がそう尋ねると、東雲は表情を曇らせた。あの時の転落事故と、今回の失踪事件の繋がりがさっぱり読めない。

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