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接触 4
「そんな怖い顔しないで下さい。……今回、奈々さんと言う方を調査していくにあたって、塩田と言う男が関係してる事がわかりました。この男、とある事件で小道具を置き忘れるミスをしてアクターに大けがを負わせ、仕事をクビになっているんです」
「それは……知らなかったな」
「そうでしょうね。……元々物忘れが多く片付けられない性格の方だったようで、『たかがステッキを置き忘れていただけなのに、それを踏みつける奴が悪い!』と最後の最後までボヤいていたみたいですよ」
「……」
確かにあの日は、自分の不注意でもあった。雨も降っていて視界が悪く、足元に注意が向いていなかったのだ。
まさか自分が踏み切るその位置にそんなものが置いてあるなんて想像すらしていなかった。避けられなかった自分が悪いと言われればそれまでだが、崖から飛び降りる為に助走を付けていたのだ、直前で発見した所で急に立ち止まれるはずもない。
「元々、忘れ物が多く片付けられない性格だったようで、彼が原因で映り込んではいけないものが映り込んだりしてNGになる。なんてことはしょっちゅうだったみたいですね。しかも、彼はその度に反省の色を見せず、自分は悪くないと喚くばかりで、関係者も手を妬いていたみたいですねぇ」
そこまで聞くと、蓮は溜息を吐いた。
なるほど、これは厄介な相手だ。
「で? その塩田と言う男と今回の失踪事件はどう関係してくるんだい?」
蓮の問いに東雲は苦笑いを浮かべて肩をすくめ、コーヒーに口を付けてゆったりと息を吐きだした。
「そう急かさないで下さいよ。……その塩田と言う男は、自分から仕事を奪った男……つまり、御堂さんと、番組制作自体に強い恨みを持っているみたいです」
「僕に?」
「そうです。御堂さんが置き忘れたステッキを踏んで崖から転落しなければ自分は仕事を続けていられたと、未だにぼやいていたそうですし。そして、今回貴方が、獅子レンジャーに復帰するのを何かのきっかけで知ってしまった」
そう言うと、東雲は一呼吸置くように口を閉ざし、真っ直ぐにこちらを見つめてきた。
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