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接触9

自分がここまで他人に思い入れする日が来るなんて。昔の自分からは想像できない事だと思う。 今までは自分以外の人間に興味などなかったし、誰に嫌われようが何を言われようが構わなかった。 自分さえ良ければそれで良かったのだ。 それなのに今は違う。ナギはもちろんの事だが、他のキャスト陣達も個性的で中々面白い奴らが揃っていて、毎日飽きる事がない。 何より、ナギの存在が自分の中でどんどん大きなものになって来ていること今更ながらに気付かされた。 ――これが、好きって事なのか……。 シンプルな答えに行きついて、じわじわと顔が熱くなるのを感じた。 手の甲で口元を押さえ、顔を隠すようにしてクッションに顔を埋める。 心臓がドキドキと早鐘を打って、全身が火照っているような感覚に襲われ、落ち着けと、何度も言い聞かせるように心で唱えるが、一向に治まる気配はなく、寧ろ酷くなっていく一方だった。 ――参ったな……。 いま、この場に誰も居なくて良かった。もしこんな顔を見られたりしたら、絶対に揶揄われるに決まっている。 蓮はもう一度小さく溜息を吐き出すと、ソファーに背を預けて心を落ち着けるために深呼吸を繰り返した。 ふと、ナギの声が聞きたいと思ったが流石にこの時間だ。もしかしたら寝ているかもしれないと思いなおしソファに凭れて目を閉じた。

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