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接触 16
「もー、お兄さんのせいで変な気を遣わせちゃったじゃないか!」
「僕だけのせい? ナギだって嬉しそうな顔していたくせに」
「~~っ、そ、それはっ……そう、だけど……っ」
自分一人が悪いような言い方をされて、ムッとして言い返すとナギは、口を尖らせて言い淀んだ。
そんな姿でさえ可愛らしく見えるのだから、本当に自分はどうかしている。
「とにかく!人前では絶対にやめて! ただでさえあの動画が出回ってから、色々聞かれることが多いんだから。誤魔化すの大変なんだよ!?」
動画の件を出されたら反論の余地はない。ズルいなぁと思いつつも、渋々と引き下がる。
だが、ただで引き下がるのは惜しくて、拗ねたフリをしてナギの肩に頭を乗せ、甘えるようにすり寄った。
「……わかった。じゃあ、誰もいない時はいいんだね?」
「そういう問題じゃ……って言うか、人の話聞いてた?」
「聞いてるよ。ちゃんと……。ねぇ、ナギ」
「……っ」
耳元で低く名前を呼ぶと、ビクッと肩を震わせる。そのまま耳たぶに唇を寄せれば、面白いくらい身体が跳ねた。
「ちょ、ちょっと待って。ここ廊下……。それに今から撮影だし」
「大丈夫。今は誰も居ない。だから、少しだけ。ね?」
耳に息を吹きかけるように囁くと、ハッとしたようにナギが手の平で蓮の顔を押し返した。
「なに?」
「なに? じゃない! 何しようとしてんの!」
「キスして欲しそうな顔してたから」
「はぁ!? し、してないからね!? ぜんっぜん!」
ナギが無理やり蓮を押し退けて距離を取ろうとするので、腕を引いて振り向かせ、腰を抱いて距離を詰める。
「俺がして欲しそうなんじゃなくって、お兄さんがキスしたくって堪らないんでしょ」
「あぁ、そうだね。ナギの顔を見てたら凄く濃厚なキスしたくなっちゃった。だからいいだろ?」
「よくない! 全然良くないからっ!」
顔を真っ赤にして抵抗するナギを、壁際まで追いつめ、逃げられないようにして、顔を近づけていく。
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