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交錯する思い 7
「何処でそれを……」
「どこでもいいだろう? それより、教えて欲しいんだ。僕も知っている事は全て話すから」
凛は暫くの間、蓮を睨みつけるようにしていたが、やがて諦めたように口を開いた。
「……ああ。知っていた。彼女の交友関係は狭くて、調べるのは造作もない事だったからな。同棲していた彼氏の名が塩田だと聞いてピンと来たんだ。俺が知っているのは、OSCの婦人と塩田が従兄弟同士だという事位で、今どこに居るのかはさっぱり……」
「いとこ同士? 監督の奥さんと塩田が? じゃぁ、もしかして監督が奥さんに逃げられて制作費の半分を失ったのって……」
思わぬ情報に蓮が目を丸くして呟くと、凛は神妙な面持ちでコクリと首肯した。
「恐らく、塩田が唆したんだろう。高瀬奈々に近づいた目的がわからないが、アイツが制作サイドに強い恨みを持っている事は間違いない」
「……やっぱり。アイツの目的は、僕の降板と番組の中止って事で合ってる?」
「……」
その問いに、凛は答えなかった。苦虫を噛みつぶしたような顔をして拳を強く握りしめている事から察するに、恐らく当たりなのだろう。
「そこまで気付いていたのか」
「そりゃ、まぁ……。塩田ってヤツ、正直顔も思い出せないけど。僕のせいで仕事を失ったって言ってるってとある筋から聞いたよ」
蓮が自嘲気味に笑うと、ハッとしたように顔を上げた。
「……すまない」
「なんで……兄さんが謝る必要が?」
まさか謝罪されるとは思わず、蓮は驚いて凛の顔を見た。
そんな蓮を見て、凛は苦々しげに顔を歪める。
その表情は、後悔に満ちていて。
まるで、自分の責任であるかのように自分を責めているように見えた。
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