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企画会議
「ふっふっふ、じゃぁみんな準備はいい? せーので引くわよ?」
楽しげな含み笑いを浮かべ、美月がくじ引きの箱を差し出して来る。メンバー全員が集まって輪になり、箱に手を入れてくじを引く姿は中々シュールな光景だ。
傍から見れば遊んでいるようにしか見えないだろうが、これも立派な次の動画の企画会議である。
「どうしよう、なんだか緊張して来た」
「大丈夫ですよ。棗さん」
くじを握りしめたまま、プルプルと震えている雪之丞の手を結弦がそっと握る。
その表情は真剣そのもので、まるでこれから手術に臨む患者を見守る医者のようだ。
その横では、東海とナギが手を組んでどうか当たりませんようにと祈りを捧げている。
「はは、みんな大袈裟だなぁ。たかがドッキリを仕掛けるだけだろう?」
「たかが、じゃない! 仕掛ける相手が悪すぎるよっ、ターゲットは凛さんだよ!? 絶対ヤバいって」
呑気に笑う蓮に抗議するようにナギが声を上げ、それに同調するように全員がウンウンと頷く。
「スタッフにもやってみたい企画入れておいてってお願いしたのが誤算だったわ。誰よ、御堂さんに寝顔ドッキリしかけるなんてカード入れたのは!」
美月が頭を抱えて叫ぶと、全員の視線が一斉に蓮に突き刺さる。
その鋭い眼差しに、蓮は思わず怯んだ。
「えぇ……なんで僕が悪いみたいになってるんだよ。僕じゃないって」
「まぁ、誰がいれたかなんてこの際どうでもいいじゃないですか。それより、さっさと決めてしまいましょう。凛さんにドッキリを仕掛ける人を」
弓弦の言葉に、全員が顔を見合わせこくりと頷く。どうか、自分じゃありませんように。なんて声が聞こえてきそうな緊張感の中、一斉にくじを引いて行く。
その結果――。
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