201 / 351

バスの中で 4

「だ、大丈夫……じゃないっ! ほんっと最悪っ」 「ん、ふあ……。なに、どうしたの? 何かあった?」 「あぁ、ごめん。起こしちゃった? ちょっとナギが酔ったみたいで」 目が覚めたのか、真後ろの席に座っていた雪之丞が欠伸をしながら目をしょぼしょぼさせながら尋ねて来る。何食わぬ顔で誤魔化しつつ、蓮はナギの衣服を整えてやった。 「えぇ、ナギ君が!? だ、だいじょう……」 「起こしちゃってごめんね。大丈夫。今吐かせたから」 「ぇえっ!? 吐いた!? 何処かでバス停めて貰った方が……って、ナギ君大丈夫?」 「だ、大丈夫だから! ちょっとほっといて貰えないかな」 ナギは恥ずかしいやら居た堪れないやらで俯いてしまっている。そんな彼を横目に見つつ蓮は徐に立ち上がると窓に手を掛け、ゆっくりと開いた。 途端に温かかった車内に冷たい空気が流れ込んで来る。 「うわっ、な、なに!?」 「ちょお!? 誰ですか!? 窓開けたの!?」 静かだった車内が騒然とし一気に騒がしくなる。 「ち、ちょぉお兄さん!? 何やって……そんなことしたらみんなに迷惑が……っ」 「乗り物酔いした時って換気した方がいいって言うだろう?」 「そ……「それに、キミのエッチな匂いがみんなにバレちゃってもいいの?」」 咄嵯に反論しようとしたナギの声に被せる様に蓮が耳元で呟けば、みるみると頬を紅潮させて行く。

ともだちにシェアしよう!