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束の間 5

突然凛の腕が伸びてきて、ナギの手首を掴むとそのままグイッと引っ張られ、体勢を崩したナギの身体は、あっという間に凛の胸板の上に倒れ込んでしまう。 その動きがあまりにも自然で一瞬何が起きたのか理解できなかった蓮だったが、ハッと我に返ると慌てて二人の方へと駆け寄った。 「ナ、ナギ大丈……っ」 近寄った蓮が見たものは、凛がナギの腰をグッと抱き寄せ、顎に手を添えて強引に唇を重ねている姿だった。 「!?」 あまりにも衝撃過ぎて蓮の思考が停止する。 ナギは凛の肩を押し返すが凛の力が強くビクともしない。むしろ更に強く抱きしめられて身動きが取れなくなってしまったようだった。 「んーっ! ふ、ぅ……っ」 次第に酸素を求めて苦しくなったナギは、ドンドンと凛の背中を叩きながらなんとか顔を背けようと試みるが、凛はお構いなしに舌を絡ませてくる。 一体、自分の目の前でなにが起こっている? ナギと、兄が……? まさか……そんなはずは……。 混乱する頭の中を整理できないまま、蓮はただ立ち尽くしていると酸欠でくったりと力を失ったナギの身体を抱き締めながら、凛はようやく彼の唇を解放し、ゆっくりと目を開けるとカメラに向かって不敵な笑みを零した。 「……人の寝込みを襲うなんて、随分と大胆な事するじゃないか」 唾液で濡れた唇をペロリと舐めると、凛はニヤッと笑みを浮かべながらナギの耳をそっと撫で、こちらを見て固まったままになっていた蓮に視線を移す。

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