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束の間 6

「やっべ、オレ見ちゃいけないものを見た気がする……」 真っ赤な顔をしてポツリと呟いた東海の声でようやく我に返った蓮は、慌ててぐったりしているナギを引き離すと自分の眠っていたベッドへと寝かせ、凛を睨んだ。 「兄さん、起きてただろ!?」 「さぁ? 思い人が夜這いに来たのかと思って対応しただけだが? まぁ、別人だったが……これはこれで……」 「なっ!?」 口元を歪めて笑いながらシレっととんでもない事を言いだした兄の言葉に思わず面食らう。一体なにを言っているのかと、反論しようとするがそれよりも早く凛が東海の持っていたカメラを奪った。 「――ところで、俺の寝顔なんて撮ってどうするつもりだったんだ?」 「そ、それは……」 「それは?」 低い凄みのある声で尋ねられ、東海の身体がヒャッと小さく跳ねる。やはり怒っているのだろうか? 「いや、その……。ちょっと企画で……寝起きドッキリをしかけようかって事になって……それでその……」 「ほぉ? それでこんな事を? と、言う事は蓮。お前もグルだったんだな?」 しどろもどろになりながら、今にも泣きだしそうな顔をする東海から視線を移し、こちらをもう一度振り向いた兄の表情は相変わらず読めない。 「ま、まぁ企画の一環でさ……。盛り上がるかなぁって思ったんだけど……」 「で? 盛り上がりそうか?」 「あ、あんなのっ! 流せるわけ無いじゃないかっ!!」 ナギの唇を奪われたという事実だけでも腹が立つのに、そんな動画をUPなんて出来るわけがない。

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