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勝負の行方 11

「取敢えず蓮は出来る限り俺の側に居ろ。相手の狙いがお前である可能性が高い以上、襲われないとも限らないからな」 「……え……、それじゃぁ僕の自由な時間は……」 「相手が此処にいる目的がわかるまでは、暫く無いと思ってくれ」 「……」 蓮はがっくりと肩を落とす。 「なんだ? 俺と二人きりでいるのは不満か?」 「……そ、そう言う意味じゃないよ……。でも――」 蓮は口を尖らせると、ボソリと文句を漏らした。 「折角の遠征なのに……」 ナギと部屋は別だし、オフでも一緒に居られないだなんてあんまりだ。 「我慢しろ。あの子に何かあって後悔はしたく無いだろ?」 そう言われてしまうと言い返せない。わかっているのだ。ただの我がままだと。 でも、やっぱり釈然としない。 別人である可能性だって0じゃないのに。 「やっぱり、納得いかない。もしアイツが本当に僕に恨みを持っていて、此処にいる事を知って同じホテルを取っているというのなら、今更コソコソしたって何の解決にもならないし。それより、あの男をとっ捕まえてボコって、奈々さんの行方をゲロさせた方がよっぽど建設的じゃないか」 「――お前はまたそういう事を簡単に――」 呆れたように額に手を当てて、凛は頭を振る。 「だってそうだろう? どうでもいい奴を追い詰めていたぶるのは得意だよ。それに、現実から目を背けるのはもう止めたんだ。僕は、やっぱりこの仕事が好きだし、いいメンバーに恵まれたと思ってる。最後までやり切りたいんだ。だからこそ、今すぐ近くに居るのがアイツならこの手で決着を付けたい」 真っ直ぐに前を見て真剣な顔で語る蓮に凛は深いため息を吐くと、ガシガシと頭を掻いた。 どうやら説得は無理そうだと悟ったらしい。

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