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勝負の行方 15

「なんでまた急に……」 「実はな、草薙さんが言ったとうり動画の再生数が今とんでもないことになっているらしいんだ。メンバーのわちゃわちゃした様子が面白いと密かに話題になっていて、地方にも来て欲しいと問い合わせが多数来ているそうなんだ。スポンサーからの以降もあってついさっき決まって、ちょうどお前達に話そうと思っていた所だったんだ」 凛の言葉を聞いたメンバーの反応は様々だった。  ナギと美月は目を輝かせて喜んでいたが、結弦と雪之丞は困惑を隠しきれない様子で顔を見合わせているし、東海はいつものように何処か冷めた様子で凛の顔をじっと見つめていた。 そして蓮はと言えば―― (地方のイベントとか、また面倒なモノを入れ込んで来たな) と、内心思いながらもそれを表には出さず、ただ困ったように苦笑を浮かべるだけだった。 「地方営業でヒーローショーとか凄くない!?なんか有名人になった気分」 「姉さん。何寝ぼけた事言ってるんですか。私たちは既に有名人でしょう?」 興奮気味の姉の発言に対して冷静に突っ込みを入れる弟の結弦は、どこか呆れたような眼差しを向けている。 「そりゃ結弦は小さい頃から舞台とか立ってるから気にならないかも知れないけどさ……。俺達なんてまだまだ駆け出しだし、地方でヒーローショーやるって事は知名度を上げるチャンスでもあるって事だよ! こんなチャンス滅多にないって!」 ナギの言葉に、美月が大きくウンウンと頷く。ナギはともかく、美月は特に小さい頃から何度もオーディションを受け続け、ようやく射止めた役だと聞いたことがある。 今回の番組を足掛かりにこれから飛躍していこうと狙っている彼女にとってみればこの話は願ってもいない好機なのだろうという事は容易に想像が付く。 「それはそうかもしれませんが……。スケジュールとか大丈夫でしょうか? ただでさえタイトに詰め込まれているのに……」 「確かに結構ガッツリ、スケジュール組み込まれてるよね。その中に地方での営業も入れるってなると、ちょっときつくないかな? 僕らアクターは留守番だろうから構わないけど……」 「えっ!? お兄さん達も一緒じゃないの?」 驚いたような声を上げるナギに、蓮は思わず苦笑してしまう。 通常、顔を見せないアクター側はいくらでも代役が利くため、ショーに同行させる必要がないのだ。

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