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勝負の行方 16

「僕達アクターは顔を出さないから、通常であれば行く必要が無いんだよ」 「そう、なんだ……」 あからさまにがっかりしている様子のナギは、少し寂しそうに視線を落とす。 そんな顔をされたら蓮だって何かしてあげたいと思うのだが、如何せんこればかりはどうしようもない。 蓮だって本当はずっと一緒に居たい気持ちはあるけれど、仕事は仕事だ。 そこはもう割り切るしかない。 「……そんな顔するなよ。ナギ……。仕方ないだろう? こればっかりは」 しょんぼりと肩を落としている彼の頭をポンポンと撫でると、彼は俯いていた顔を勢いよく上げ、上目遣いで蓮の顔を見上げた。 その表情は捨てられた子犬みたいで、潤んだ瞳で見つめられれば庇護欲を掻き立てられてしまう。 ――やばい……可愛すぎて、抱きしめたくなる。 蓮はグッと拳に力を入れ、溢れそうになる衝動をなんとか抑え込む。 「あー……。ゴホン。確かに、通常であれば、アクターを同行させることは無い。だが……今回は少し事情が違うんだ」 「え?」 その様子を見兼ねて、割って入って来た凛の言葉に、全員が首を傾げ視線が集中する。 「実は、蓮、お前は既に顔が割れてるだろう? それで、アクター達全員に実際に会ってみたい言っている女性の声が多いらしくてな。幾つかの公共施設ではお前達込みで連れて行こうと思っている」 「……それ、本当なの? そんなの聞いたことない」 「不満か?」 凛にそう尋ねられ、蓮はフルフルと首を振る。嫌な筈はない。だが、凛の話しぶりを聞いている限りでは、自分以外の二人もマスクを脱ぐのが条件だと言う風にも聞こえる。 蓮はチラリと、雪之丞や東海の方に視線を移した。

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