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勝負の行方 17

「ま、いいんじゃない? どうせ、動画撮影する時に私服にマスクじゃダサいって思ってたし。そろそろ顔出ししてもいいかなって思ってたとこだったし」 「えっ!? はるみん、そうだったのか!?」 「はるみんって言うなって言ってんじゃん!! 勘違いすんなよ? 美月が毎回、動画撮る時くらいマスク脱げ、脱げってうざいからだし……」 プイっとそっぽを向いてしまった東海に苦笑しつつ雪之丞へと視線を移す。 「ボ、ボクは……どっちでもいい。かな……仕事だし」 いつもの様にオドオドとした様子で話す彼は、自分の意思がはっきりしていないようだったが、それでも、凛の提案を受け入れる様子を見せていた。 「話はまとまったみたいだな? あー……取り敢えずそう言う事だから、来年度は忙しくなることを覚悟しておいてくれ」 凛の一言に、蓮は苦虫を潰したように眉根を寄せた。 まさか、最初にうっかり出てしまったあの動画の反響が未だにあるだなんて思ってもみなかった。 確かに、若いお姉さんのファンが急激に増えたとは思っていたが、まさか地方営業へ出向く程の人気が出るなんて……。 「年始からの営業の件はわかったよ。確かに地方の営業が増えればその分資金も集まるわけだし、撮影も今のところ順調。後は塩田をとっ捕まえて奈々さんの居場所を突き止めてから、邪魔をしないように、釘でも刺しておけばひとまず安心って事だよね?」 「まぁ、そうなりますね」 蓮の問いかけに、結弦が苦笑しながら答える。 「よしわかった。じゃぁ早速、僕らが安心して撮影に挑むためにもアイツをおびき出す作戦を考えないとね」 そう言って腹黒さをにじませた笑顔でニッコリと微笑む蓮をみて、その場に居たメンバーたちが頬を引きつらせる。 この男は本気で塩田を捻じ伏せるつもりなのだ。 ――絶対に殺さないでくれよ……。 その場にいたメンバー全員が、同じ事を思ったのは言うまでもないだろう。

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