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勝負の行方 18

ホテルの部屋に戻ると、蓮はメンバー全員が見守る中塩田から貰った名刺に書かれたアドレスへ連絡を入れた。出来るだけ早くに会いたい旨を添えて送信すると光の速さで返信が来て、トントン拍子に翌日の午後に会うことになった。 「つか、コイツ。ただの女タラシじゃん」 「……蓮君の事、女性だと思ってるんだよね? ウキウキしながら来て蓮君待ってた時どんな顔するんだろう」 うわー、ヒクわーとメンバー達からは散々な言われようだ。 まぁ、気持ちはわからないでもないが。 「どうせなら、お兄さんもう一回女装して会ったら?」 「それだけは絶対に嫌だ!」 ナギの提案は即座に却下しあーでもない、こうでもないとみんなで頭を突き合わせて話し合いをする。 2人部屋に7人もの大人が集まればそれなりに騒々しい。 少し離れた所でソファに座りながら迷惑そうな顔をしている兄には心底申し訳ないと思ったが、何だか学生時代に戻ったような気分になって、それが楽しくもあった。 もっとも、自分が学生の頃なんて本音と建前の乖離が激しかったために、こんな風に友人と真剣に物事を話し合ったり、ましてや意見をぶつけ合うようなことはしなかったけれど。 きっとそれは、このメンバーがいい奴らばかりだからなんだろうなと蓮は思う。 だからこそ、こうして一緒に居て楽しいし、ついつい甘えたり頼ったりしてしまうのだろう。 それに、蓮自身、今が一番充実しているように感じていて、この雰囲気を壊したくないとも思っている。 それは、今までの蓮の生活から考えれば考えられないことだった。 ――自分の何が変わったのだろうか? 自問するが、答えは出ない。 だけど、今のこの時間がとても心地よい。 このまま、ずっとこんな日々が続けば良いのに。そう願わずには居られなかった。

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