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因縁の相手
約束の午後になり、蓮達は指定された蓮達は指定されたファミレスへと向かった。平日の昼間という事もあり、店内にはそこそこの客が入っているものの程よく空席が目立つ。
蓮は窓側の席を選んで、彼を待つことにした。
此処なら入り口から入って来る人の顔が見えるので、色々と都合がいいのだ。ナギたち一行はそれぞれ近くの席を陣取り一般客を装いながら聞き耳をたてている。
少し早めに来たものの、既に相手が来ていたらどうしようかと心配していたがどうやらそれは杞憂に終わったようだった。
そう言えば、塩田は大雑把で片付けもいい加減だし、時間にもかなりルーズだと前に凛がぼやいていたような気がする。
そんな男の何処に奈々は惹かれたのだろうか?
女心はよくわからないなと呟いて、メニューで顔を隠し選ぶ振りをしながら、奴が現れるのを静かに待った。
「あっ、あれじゃない?」
美月の声に反応し一斉に窓の外へ視線を向けると、たいして慌てた様子もなく店に入って来る塩田の姿が見えた。
――来た。
周囲に緊張が走る。
「僕は一旦飲み物を取って来るよ。みんなは塩田の様子を観察していてくれるかい? くれぐれも、相手に悟られないようにね」
蓮はそう告げると、ドリンクバーを取りに行く振りをして立ち上がった。
「任せて! お兄さん」
「お兄さん、じゃなくって名前で呼べって言ってるのに……」
「う……それは……まだ、ちょっと……」
モゴモゴと口籠るナギの頭を苦笑しつつポンポンと撫でると、蓮は一旦その場を離れた。
塩田にはあらかじめ、席の場所は連絡しておいたから問題ないだろう。
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