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因縁の相手 2

蓮はドリンクコーナーでホットコーヒーを2つ準備すると、何食わぬ顔で席に近づいて行く。 「……こんにちは。随分遅かったんですねぇ」 「あー、いやぁすみません。場所がわからなく、て……って! お前はっ!?」 明らかに無理して作った蓮の声に反応し、塩田が顔を上げる。だが、蓮の顔を見るなり、面白いくらいに表情を変え固まってしまった。 「はっ!? え? な、なん……?」 「どうもー。今日は来てくれてありがとうございます。蓮でーす」 厭味ったらしく、わざと笑顔を張り付かせたまま余所行きの声で話しかける蓮の登場に、塩田は目を白黒させ、パクパクと口を開け閉めするだけで言葉が出てこない様子だった。 それを近くで聞いていたナギたちの失笑を聞き流し、にこやかな笑顔で塩田の向かい側に座ると持っていたもう一つのコーヒーを差し出してやった。 それを受け取る彼の手は震えており、未だに状況が理解できない様子で、キョロキョロと視点が定まらない。 そんな様子を目の当たりにして、若干コイツはやはりただの阿呆なのだと確信し呆れてしまったが、だからと言って容赦するつもりはない。 「彼女なら来ないよ」 「……なっ!」 「だって、アレ。僕だから」 そう言うと、彼は信じられないと言った表情のまま、目を見開きこちらを凝視してきた。 「アンタ、じ、女装趣味があったのか……」 ぼそりと呟いた塩田の言葉に、背後で待機していた美月が噴き出すのがわかった。

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