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因縁の相手 3

「そんなわけがあるか! 番組の企画の一環だよ。決して僕の趣味じゃない! と言うか、女装と本物女子の見わけも付かないなんて、キミは相当目が悪いんじゃないか? いっぺん眼科に行ったらどうだ?」 冷ややかな眼差しで睨みつけると彼はウッっと言葉を詰まらせ視線を逸らす。 そして何かを言いたげにもごもごと口を動かしたが結局何も言わず押し黙ってしまい、思わず蓮は苛ついたように舌打ちした。 駄目だ、冷静にならなくては……。そう言い聞かせるように深呼吸し、再び笑顔を貼り付けて塩田の顔を覗き込む。 蓮自身は彼と直接話したことは無い。怪我をして入院していた時にすら謝罪に訪れなかったような非常識な相手だ。 現場で一、二度顔を見た事があるか無いかの関係で正直、何処かで見た事がある顔だなぁという認識しかなかった。 だが、今目の前にいる男を見ているとどうしようもなく、神経がぴりつく。 「……自己紹介なんてしなくてもキミは僕の事知ってるとは思うけど、一応自己紹介をしておくよ。僕は御堂蓮。今は獅子レンジャーのレッド役をやっている」 「……」 「僕たちは今、撮影で此処に来ているんだけど、キミは何故此処に? 元ADの塩田君。これは単なる偶然なのかな?」 だんまりを決め込もうとしている相手の意図を読み取り、すかさず蓮は質問を投げかけた。その一言に、塩田がぎくりと小さく肩を震わせるのを見逃す連では無い。 「……な、何の話でしょう? 俺は芸能関係に居た事なんて全然……」 あくまでしらを切るつもりらしい。その往生際の悪さに呆れてしまう。

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