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因縁の相手 4

「ないとは言わせない。キミが高瀬奈々さんを唆して、担当していたCGをやめさせ失踪させた事件に関わってる事はわかってるんだ。全くの無関係だなんて言わせないよ?」 蓮の問いかけに、彼はピクリと反応を見せ眉根を寄せた。もしもこの件と全くの無関係の赤の他人なら突然何を言い出すのかとキョトンとした顔をして戸惑うなり、困った顔をしてみせるだろう。 だが、目の前の男は違う。 眉間に深いシワを寄せ、蓮の存在に明らかな不快感を示してきたのだ。その態度を見て確信する。やはりこいつはこの事件に何らかの形で関わっていると……。 ――ビンゴだな……。 「言っている意味がちょっとよくわかりません。何方かとお間違えじゃないですか?」 どうしても自分を他人だと思わせたいらしい。引きつった顔で何とか笑顔を作ろうとしているが、それが上手く出来ていない。明らかに動揺しているのが見て取れる。 ――本当に往生際の悪い男だ。 まぁ、それも想定内だったが……。 「――いや。お前が塩田光彦で間違いない。 俺ははっきりとお前の顔を覚えているからな」 急に背後から声がして、凛が立ち上がり、塩田の方へと近づいて行く。 「会いたかったぞ。塩田」 抑揚のない、だが腹の底から出るような兄の低い声には既に怒気のようなものが滲んでいる気がして、それだけで蓮は背中がゾクッとするのを感じた。凛はゆっくりと塩田の前に立つと、彼を見下ろすような形で立ち止まる。 普段の凛からは想像もつかないような威圧感が漂っていて、流石の兄の迫力に蓮はごくりと息を飲み込んだ。

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