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因縁の相手 5

「っ、み、御堂さんっ!? どうしてここに!?」 「どうして? 俺達は撮影だと蓮が言わなかったか? 相変わらず人の話を聞かん奴だ」 凛は腕を組み、小馬鹿にするような態度で鼻を鳴らし、不愉快そうな表情を浮かべながら恐怖に怯えた様子の塩田を睨み付ける。 「……僕より兄さんの方がヤバいじゃないか」 人には散々、ほどほどにしておけとか言っておきながら、自分は威圧感だけで相手を委縮させてしまうなんて。まぁ、兄のお陰で自分は妙に冷静になれたのだから感謝すべきところだろう。 それにしても、あの凛がこんなにも感情を露にするなんて珍しい事もあるものだ。 凛は、何があっても常に落ち着いていて、あまり自分の気持ちを口にすることは無い。 「質問に答えろ。お前の目的はなんだ? 何故、このホテルに居る? 高瀬奈々は何処だ」 「っ、し、知らないっ!何の話かさっぱり……うぐっ」 「……答えろと言ってるんだ。聞こえなかったのか?」 凛の大きな手が塩田の胸倉を掴んだ。ドスの利いた声で凄まれて、彼は真っ青になりヒィッと情けない声を上げる。 「ち、ちょっと兄さん! 落ち着いてよ。此処で暴力は流石にまずいって」 慌てて止めに入った蓮の声で我に返ったのか、忌々し気に舌打ちすると、凛は塩田を乱暴にソファへと座らせ自分はその横に陣取って座った。 「さて、じっくりと話を聞かせて貰おうか。俺達から逃げられるなんて思うなよ?」 凛が鋭い視線を向けながら、塩田に詰め寄る。その姿はまるでヤクザの取り立てか何かを見ているようで、蓮は思わず苦笑してしまった。 しかし、それは仕方ないだろう。凛の醸し出す雰囲気があまりにも恐くて、有無を言わさぬ迫力がある。

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