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因縁の対決 10

「で、結局お前は何がしたいんだ? たまたま観光で此処にいたわけでは無いだろう? 此処は別に観光地でも何でもない、のどかな山あいの街だ。誰から聞いた? 目的はなんだ?」 「……」 「答えないと、指一本ダメになるが? それでもいいか?」 「わ、っ、わかりました! 白状しますからっ!!」 人差し指を変な方向に折り曲げられそうになり、塩田が悲鳴にも似た震え声を上げる。 「偵察に来たんだよ! 奈々が居なくなってさぞ困ってるだろうと思ってたのに、回を増すごとにクオリティは高くなってるし、視聴率もウナギ昇りで、ダメージを受けるどころか益々勢いづいてるお前らが一体どんな不正を働いてんのか。それを探ろうとしただけだ」 聞き捨てならない言葉に、背後でじっと聞き耳を立てていた全員の怒りを買ったのがわかった。 「へぇ……。君もなかなか面白いことを言うね。つまり、僕らが何かズルをしていると疑っていた訳か。それで、収穫はあった?」 「……」 「あるわけ無いよな。そんなの……。あるとしたら、スタッフや共演者全員の努力と才能と団結力だけだ」 コイツのせいで自分たちがどれだけ悩み、苦しんだと思っているのか。それを思うと無性に怒りが込み上げてくる。 自分達の背後で耳を聳てているメンバー達も、恐らく同じ気持ちなのだろう。ピリッと張り詰めた空気が振り向かなくても伝わって来る。 「キミ、元スタッフだったんだろう? 随分と問題児だったそうじゃないか。僕を怪我させて干されたらしいけど、今の言動を聞いてたら、それも当然の結果だったんだと思うよ」 たっぷりと嫌味を含ませて蓮が鼻で笑いながらそう言うと、その言葉が気に障ったのか塩田の顔に怒りの色が浮かぶ。

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