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因縁の対決 11

「なっ! お前に何がわかる! お前があの時、道具を踏んで大怪我を負わなければ俺は今でもスタッフとしていられたんだ! お前が……お前さえ居なければ……っ。しかも、業界から引退したと聞いていたのにいつの間にか戻って来ているし。往生際が悪いんじゃないのか?」 憎悪を込めた眼差しを向けられて、蓮は思わずため息を吐いた。 確かに自分は一度引退を決意した身だ。往生際が悪いと言われたって否定はできない。 「……中々おめでたい頭をしているようだな、お前。……まだそんな事を言っているのか」 ギリッと音がしそうなほど唇を噛みしめて、凛が塩田の胸倉を掴んで睨みつける。 「例え蓮の件が無くったって、お前の居場所はもうなかった。そんな事にも気付かないなんて哀れだな」 「なっ……」 「お前は社会人として終わっている。仕事が出来ない上に他人に迷惑を掛けるような人間は、業界には必要ない! 何時までも過去にしがみ付いていないで他を探すんだな」 「……」 凛の言葉を受けて、塩田は何も言わずに視線を落としただけだった。それを見て、突き飛ばすように手を離すと凛はくるりと踵を返す。 「行くぞ、蓮。もうここに用はない」 「え、あ、うん……」 「……これ以上、俺達に近づくな。次に作品の妨害行為を認めたら、指一本じゃ済まさないから覚悟しておけ」 表情一つ変えずに冷酷な瞳で吐き捨てるようにそう告げると、凛はスタスタと歩いて行ってしまう。 その後を慌てて追いかけながら、蓮は「兄さん、ちょっと待って!」と何度も呼びかけるが、凛は振り返ろうとはしなかった。

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