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抜け出しちゃえ 2

ベンチに座って身を寄せ合えば、互いの体温がじんわりと伝わって来てとても心地が良い。でも、頬や手は氷のように冷たくて、時折吹きすさぶ北風に思わず身を震わせてしまう。 「ねぇナギ。やっぱり場所を変えようか? 風邪ひいたらまずいし」 「大丈夫。ここがいいんだ」 「……っ、そんな可愛い事言われたら離したく無くなるじゃないか」 念のためにと部屋から持ってきたブランケットを背中に掛けてやり、甘えるように擦り寄って来たナギの肩を抱くと、ソワソワと落ち着かない気分で星空を見上げる。 満天の星空に、大きな月がぽっかりと浮かび煌々と辺りを照らしていて、ライトアップされた木々と相まって幻想的な風景を作り出していた。 「ねぇ……ここ、他に誰も居ないよ?」 そっと囁くようなナギの甘い声に思わず喉がなった。 確かに誰も居ない。ブランケットに隠れてしまえば中で何をしているかなんてわからないだろう。 いや、そもそもこんな時間にこの中庭に居る人間など自分達以外にはいないのだけれども……。 「お兄さんは? したくないの?」 可愛らしく上目遣いで尋ねられたら、断れるわけがないじゃないか! 「……そんなの……聞くなよ」 「――……」 ふと、視線が絡み合って、引き合うみたいに唇を寄せ合うとどちらからとも言えないままにキスをした。啄むような口づけを繰り返しているうちに、段々とそれは深くなっていき、舌を絡め合う濃厚なものへと変わっていく。 「ん、……んっ……は、ぁ……」 はふ、と息を吐き唇を離すと、銀の糸を引いて唾液の雫が落ちていった。

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