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抜け出しちゃえ 5
「なんで!? みたいな顔しないでよ。……嫌なんだよ。こんな……AVみたいな事……前にも言わなかった?」
頬を赤く染め膨れ面をしながらそう言うと、ナギはプイッと顔を逸らして先にスタスタと歩いて行く。
これは怒っているのか、恥ずかしがっているのか、どっちだ? と蓮は思ったが、どちらにせよ可愛いと思ってしまうあたり重症かもしれない。
そんなことを思いながらも、蓮はまだジンジンと痛む腹を押さえて立ち上がると、後を追いかけその背中に「ごめん」と、小さく謝罪の言葉を口にした。
「たく……調子に乗り過ぎ。……べ、別にシたく無いわけじゃないんだから……。普通にしようよ」
チカチカと光る部屋の前で立ち止まり、俯いたまま少し不貞腐れた口調で言うナギに、思わず苦笑する。
普通と言うのがどういうものかイマイチわからないが折角二人きりになれたと言うのに此処まで来てお預けは流石に辛い。
「わかったわかった。言うとうりにする。だから機嫌治してくれないか?」
「……ばか。別に俺は怒ってる訳じゃないし……」
拗ねたような口調でそう言うと、ナギは勢いよくドアを開けさっさと部屋の中へと吸い込まれていった。
慌ててその後を追うと、部屋に入るやいなやナギが蓮のコートに指を掛け脱がせ始めた。
「おい、いきなり追剥みたいな事するのが普通なのか?」
「……ッ、五月蠅いなっ!部屋に入ったら何してもいいんだよ」
何だ、その理屈は。 さっき人に膝蹴りしといてそれはないだろうと思いつつも、されるがままに身を任せているとあれよあれよという間に上の服を脱がされ腕を引かれてベッドの端に座らされる。
ナギは自分のコートを脱いで椅子に放り投げると自らの服を脱ぎながらゆっくりと近づいて来る。
「……本当は、シャワー位浴びたかったんだけど……」
目の前に立った彼の姿に、蓮の喉がコクリと鳴った。
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