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変化する 2
「ねぇ、蓮さーん。ナギ君一体どうしたの? なんか今日変なんだけど。何か悪い物でも食べたのかな?」
ナギからの熱烈な励ましを受け、戸惑う美月が助けを求めるように近付いて来て、蓮は思わず苦笑してしまう。
「あぁ、気にしないで。今朝すっごく嫌な女に会ったんだって」
「嫌な女?」
「そう。性格の悪さが無茶苦茶顔に出てる……」
「えー、何よそれ」
「一般人の方でしょうか?」
弓弦の疑問に蓮は一瞬答えに迷う。
あまり詳しく言いすぎて、二人でこっそりホテルを抜け出したと言う事実がバレてしまうのは流石にまずい。
「んー、どうだろうね? でもまぁ、ウチのリーダーがやる気出してくれたんだし僕らも残りのロケ頑張らないと」
「確かにそうですね。今日頑張れば予定どうり明日には戻れそうですし」
撮影スケジュール的には順調だ。後は天候さえ崩れなければ問題ないだろう。
「そういや今日は、昼飯はロケ弁じゃなくって棗さんと美月の料理対決だろ? サクサクっと午前中の撮影終わらせようぜ? 飯無しだけは勘弁だしな」
「あぁ、前に言ってたキャラ弁対決?」
「えっ!? そうなの!?」
東海の言葉にナギが驚いたような声を上げる。
「小鳥遊さん、ちゃんと毎日スケジュール表確認してくださいって何時も言ってるじゃないですか」
そこに、呆れたような弓弦のツッコミが飛んできて、ナギはへへっと笑って誤魔化した。
「全く、しっかりしてくださいよリーダー」
「ごめんって。でも、大丈夫だよ。今日は俺なんだかノーミスでやれそうな気がするから」
「……なんだか今日は随分機嫌がいいんですね。何か、あったんですか?」
「なっ、何も! 何もないよっ!」
ジッと結弦に見つめられ、アワアワと慌てた様子のナギが助けを求めるようにこちらに視線を向けて来る。
そんなやり取りを微笑ましく見ていると、ふと視線を感じた。
何気なくそちらを振り返ると雪之丞がジッとこちらを見ていて、目が合うとぎこちなくふいっと視線を逸らされてしまった。
もしや雪之丞は何か感じ取ったのだろうか? と、不安が過ったが。それを確認しようとする前にマスクを被ってしまい表情が読めなくなってしまう。
完全にタイミングを失ったまま、その件について問い質す事は出来ずに、スタートの合図が切られ、撮影は進んでいった――……。
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