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変化する 6

掛け声と共に開かれた弁当箱を見て、一同は驚愕した。 「え、なにこれ……普通にヤバくね?」 「こ、こ……これは……アニマルフレンズのろっぷちゃんじゃないですか!」 雪之丞の弁当に秒で食いついて来たのは、意外にも結弦だった。 「え? なに?」 「さぁ?」 雪之丞の弁当の中には可愛らしい垂れ耳の白いウサギのキャラクターを模したおにぎりが中央に鎮座しており、その周囲を唐揚げやウィンナーなどが囲んでいる。 ニンジンで綺麗に飾りつけされたブロッコリーはまるでクリスマスツリーを思わせるような見事な出来栄えで、その隣にはカラフルに彩られたプチトマトが添えられている。 「小さい子を持つお母さん世代が見たらバズるやつだコレ……」 「凄いですよ。棗さん……あ! 写真! 撮っていいですか?」 「え? あぁ、うん……いい、けど……なんだか恥ずかしいよ」 結弦は興奮気味にスマホを取り出し、パシャパシャと写真を撮り始める。 「僕は、草薙君の反応の方がビックリなんだけど」 「……同感。まぁでも、ギャップ萌えってヤツ? 今のシーンバッチリ固定カメラに映ってるし」 何時ものクールさは何処に行ったのだろうか。結弦はすっかり雪之丞の作ったキャラ弁に夢中になっていたが、カメラの存在を思い出したのかコホンと咳払いすると、スッといつもの表情へと戻って行った。 「ま、まぁ……凄く可愛らしくて美味しそうな弁当ですね」 「今更?」 「シッ。オッサン、聞こえるって!」 わざとらしい演技をする結弦がおかしくてついツッコミを入れれば、東海が慌てて制止して来る。

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