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変化する 8

それから、みんなで二人の作った弁当をシェアして食べ、余った時間で雪之丞が簡単に作ったという、フルーツポンチをデザートとして頂いて、弁当対決は雪之丞の圧勝ということで幕を閉じた。 「――それにしても驚いたな。雪之丞があそこまで器用だったなんて」 午後からの撮影を終え、ホテルへ戻る途中。蓮はナギと並んで歩きながら、先程の出来事を思い出していた。 「プログラミングが出来るってだけでも凄いのに、器用だよねゆきりんって」 「そうだな……。僕も正直驚いている。アイツそういう事自分で言わないから」 凄い才能があるのだから、もっと自信を持てばいいのにと、蓮は思う。 いつも控えめで、自分のことはあまり積極的に話すようなタイプじゃない。長いこと一緒に居たのにあそこまで料理が上手だなんて知らなかった。 それにしても。雪之丞があんな可愛らしいキャラクターに興味があるだなんて。 有名なキャラで、アニメには疎い蓮だって絵柄くらいは見たことがある。 でも、その程度だ。キャラクターの名前なんて今日初めて知ったくらいだ。 「驚いたって言えば……。弓弦がめちゃくちゃ食いついてたね。いつも澄ましてんのに子供みたいに目を輝かせてさ……。食べるなんて勿体ないって、しばらく渋ってたもん。可愛いとこあるなぁって思った」 「あぁ、確かに。あの時の草薙君は珍しく感情を表に出してたね。普段大人びて見える分、年相応に見えたっていうか」 今日の料理対決は、今まで知らなかったみんなの素顔が垣間見えた気がする。 きっと、こういう機会でもないと見る事が出来なかったかもしれない。 そんな事をナギと話しながらホテルに辿り着き、近道しようと中庭を横切ろうとして、ふと足を止める。 植え込みの陰に隠れるようにしてしゃがみ込む2つの影を発見したからだ。

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